母が知らない女になった②

弟の予感

 

アロマをたいて、読書して、眠くなったらそのまま眠りにつく。

一日の中で一番好きな時間だ。

 

今日もそうやってくつろいでいたら、弟が部屋にやってきた。

 

部屋に来るのは珍しいことではない。

 

2歳上の姉は正義感が強く、私も弟も姉によく怒られていた。

そしてその怒り方がなかなかすごいのだ。

馬乗りになられることもあるし、胸ぐらをつかまれることもある。

確かに姉は正論を言っているのだが、そこまで怒らなくても…という怒り方をするのだ。

 

姉が就職で家を出ていく前までは、そんな姉に弟と二人で結託して向かっていっていた。

だからなのか、私たちは姉弟であり、仲間でもある、そんな感覚だ。

 

姉が就職で家を2年前に出て行ってからも、そんな感覚は私たちの中で残っていた。

兄弟は、少なからずお互いにライバル感を抱いて成長するのだろうが、私たちは歳が10コも離れていることもあり、それが私たちの仲間感を強くしていた。

そんなわけで、私たちは夜中にくだらない話をしたりするし、好きな人の話もしたりする。

 

 

だから、その日も部屋に入ってきても、なんとも思わなかった。

むしろ好きな時間を邪魔しないでくれーとでも思っていた。

 

今日もくだらない話だろうと意識の8割は本の方に集中させていた。

 

だが、なかなか話し始めない。

 

顔をあげると、弟はなんだか思いつめた顔している。

 

「なん。どうしたん。本読みたいっちゃけど。」

「…うん。」

「…。」

弟はずっとうつむいて立っている。

言うか、言うまいか悩んでいるようだった。

私は、本を閉じた。

「どうしたん。」

「…なんか最近お父さんおかしくない?」

「どういうこと?」

「なんかお母さんに対して厳しくない?夜中ベットでなんかしゃべってるし。」

「え、そう?気のせいやろ。身長伸ばすんやろ、早く寝り。」

「そうやね。おやすみ。」

 

弟から言われた言葉は、まったく予想つかないものだった。

だが、予想がつかなさすぎて、なんとも思わなかった。

 

なんだか拍子抜けして、眠たくなった。