母が知らない女になった⑥

不協和音

 

 パパとママが深夜寝室でなにやら言い争っているのを聞いてからというもの、

 2人に対する不信感がぬぐえなくなった。

 

 中でもパパの様子がおかしいのだ。

 やたら帰ってくるのが早くなったし、帰ってきたらママに今日一日何したかを半ば問い詰めるような口調で聞いている。

 

 「今日は何したの」「ふーん、それはどこのスーパー?」

 

 今までパパは家のことに対して無関心だったから、そんな風に突っ込んで話をしているといつもの食卓に大きな違和感がでる。

 

 これまでは弟が学校でやんちゃした話を聞いたり、

 私がバイト先での出来事を話したりして賑やかな食卓だったけど、

 パパがまとう異様な空気で食事がおいしくない。

 

 何急にママのこと気になり始めてんだろ。なんか気持ち悪い。

 

 そんなことを思っていたら、だんだんパパと素直に話せなくなった。

 

 そう思っていたのは弟のまさも同じだったようだ。

 

 私とまさはパパがいない場でこれまでどおりママに話しかけるようになり、

 パパは家のなかでだんだん孤立していった。

 

 

 ある日曜日。

 いつもママは私が起きることには既にテニスに行っている。

 ところがその日はまだ家にいた。

 「あれ。今日はテニスないんや。」

 「うん。なんか腕痛めてしまったけんしばらく休む。」

 「あらーそうなんや。あがらんと?」

 「うーん、なんか痛いんよね。年かも」

 

 この日からママの様子がだんだんおかしくなっていった。